2019年11月14日

近露で和歌会

 十四日 天気晴れ

明けがたに山中の宿を出て、重点王子(※十丈王子※)に参る。
次に大坂本王子に参り、次に山を越えて近露宿所に入る。
この時に日出の後である
滝尻からここにいたるまでごつごつでこぼこの険しい山道で、目が眩み、魂が転んで恍々とした。

昨日、川を渡って、足をいささか痛める。よってもっぱら輿に乗る。
この宿所は御所に近く、田を隔ててある
午の時(※今の正午頃。また、正午から午後2時まで。または午前11時から午後1時までの間※)の終りころに御幸〔歩き〕終わる。すぐに題をくださる。
また二首。

   峯月照松

 さしのぼるきみをちとせと見山より
  松をぞ月のいろにいでける

差し昇る貴方さまは、まるで長い年月光り続けるあの月のようです。御山より眺める松が、月の色に映えています。


   浜月似雪

 くもきゆるちさとのはまの月かげは
  そらにしぐれてふらぬしらゆき

雲が消えた千里の浜の月の光は空に時雨れて、降りはしないが、白雪のようです。


本日の披講である長房朝臣(※藤原長房、1168年〜1243年※)がこれを注して送ってくる。
驚き、すぐに持参する。間違ったことがあったのだ。
上皇様はお食事の最中とのこと。すぐに退出。

灯りがともって以後にまた参上する。
講縁阿闍梨のお召しによって蔀の外に参り読経する(読み上げてから退出)。だいぶ経ってからお召しがあり、御前に参り、また読上げてから退出。
すぐに〔この時、亥の時〕輿に乗り出発し、川を渡り、すぐ近露王子に参る。
次にヒソ原(※比曾原王子※)、次に継桜、次に中の河、次にイハ神(※岩神王子※)とのこと。
夜中に湯河宿所に着く。
道はごつごつして険しく、夜に行くのははなはだ恐ろしい
風が寒く、なす方なし。時ならぬ水(コリ)がある。
posted by 藤原定家&てつ at 20:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
 
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